シンプルなコミュニケーションの学びかた

猫

今回は、前回紹介したシンプルなコミュニケーションのスキルを磨くにあたり、大いに参考になった知識について簡単に紹介してみたいと思います。

 

 

アサーション・トレーニング

1950年代にアメリカで生まれた心理療法のひとつに「行動療法」というものがありますが、その行動療法から発祥したのが「アサーション(自他尊重のコミュニケーション)」という考え方です。

その後、時代の移り変わりとともに理論や技法が体系化され、発展していったものが「アサーション・トレーニング」であり、現在に至るまで様々な場面で活用されているソーシャルスキルトレーニング技法となっています。

私個人としても、コミュニケーションの基礎や伝わりやすい自己表現の方法などについて効率的に(そしてまんべんなく)学ぶことができる知識体系として、アサーション・トレーニングはかなり有効なんじゃないかと思っています。

 

アサーションを手っ取り早く学ぶ方法としては、日本精神・技術研究所認定のトレーナーが主催する講座をさくっと受講するのがおすすめですが、
市販されているアサーション関連の本(平木典子さん著のもの)を読んで知識をつけておくだけでも、ずいぶんコミュニケーションに対する意識は違ってくるかと思います。

 

 

傾聴

自分の意図をできるだけ正確に相手に伝えようとがんばっても、
相手の話をちゃんと聴き、相手には相手の思いやタイミングがあることをわかっていないと、こちらが一方的に主張するだけのコミュニケーションになってしまいます。

「あなたのことに関心がありますよ」というメッセージを伝えるためにも、(相手のことを100%理解するのは不可能にしても)相手の話をちゃんと聴く技術は持っていて損はないように思います。

特に、お互いについ感情的になってしまうようなセンシティブな対話をする必要があるときには、かなり役立つスキルだと思います。

※ 傾聴スキルについてはロールプレイや実践あるのみで、手っ取り早く学ぶ方法がないのが玉にキズかもしれません・・・

 

 

アドラー心理学

どんなに伝わりやすいコミュニケーションを心がけても、どんなに親身になって相手の話を聴いても、結局わかりあえないままで終わる人間関係は必ず存在します。

そんな思い通りにならない人間関係に遭遇したとき、自分の中でどう折り合いをつけて次に進めばいいのかをアドラー心理学が教えてくれる気がします。

中でも「課題の分離」という考え方は、お互いに無理のないシンプルな人間関係をつくるうえでも大変参考になるかと思います。

 

なお、トラウマの存在を完全に否定するこの心理学は、心の準備が整っていない者からすると間違いなく劇薬です(だからこそ、トラウマに人生を支配されたくないと心の底から願う者にとっては起死回生の妙薬にもなるのだと思います)。
もしアドラー心理学の理論に触れて強い抵抗を感じるようであれば、その人にとってはまだ必要のない代物だということですので、そっと距離を置くことをオススメします。

 

 

以上、私がコミュニケーションスキルを身につけようとしたときにとても役に立った知識を紹介してみました。

 

これらの知識をベースに、できる範囲でコミュニケーションの実践を重ね、その結果をまた次の実践に活かしていく・・・というサイクルを地道に回すことで、少しずつ自分だけのシンプルなコミュニケーションスキルが磨かれてきたように思います。

※ 慣れていないうちは、自分でも笑ってしまうくらいの不器用な失敗を繰り返したりもしました。

 

「輝いている自分」を演出するわけでもなく、場を盛り上げたり相手を説得したりすることも目的としていない、ある意味地味なコミュニケーションスキルですが、

少なくとも自分の周りにいる人や何かの縁があって出会えた人、そして何より自分自身を以前よりも大切に扱えるようになったことで、人間関係で悩むこともずいぶん激減したように感じる今日この頃です。